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2010年2月 4日 (木)

ヴィオラの音

肉食系ガッツリな音が好きな私は弦楽器の音も好きなのだけど、ヴィオラの立ち位置が良く分かりません。でも昨日聴いた演奏会で、ヴィオラの立ち位置がほんのちょっとだけ分かったような気がします。

私は高校生の頃は吹奏楽部で主にバリトン・サックスを吹いていました。そもそもサックスを吹くきっかけになったのは、ザ・ベストテンで井上大輔が『哀・戦士』にてサックス吹いている姿に「カッコイー」と思ったからなんですけど。肉食系ガッツリな音が好きな私は、一方で聴く方は弦楽器も好きで。これは宇宙戦艦ヤマトのBGMの影響もあります。おそらくは庵野秀明もエヴァのBGMにオーケストラ使っているのはヤマトの影響でしょう。

弦楽器の音が好きな私ではありますが、弦楽器の中でヴィオラの立ち位置が良く分からないのです。音域としてはヴァイオリンとチェロの間となるのでしょうが、まさにヴァイオリンとチェロの存在にヴィオラが隠れてしまっている様に感じます。何故、ヴィオラ奏者はヴィオラを選ぶのでしょうか。酒の席で一度プロのヴィオラ奏者に「何故ヴィオラを選んだのか」と絡んだことがあります。そのヴィオラ奏者の答えは、目立つのが嫌いだ、前へ出るのが嫌いだから、でした。演奏者は、パフォーマーたるもの前へ出るべきだと思う前へ出るタイプの私には理解できないことでした。

昨日(2010年2月4日(木))金沢市アートホールにて、カメラータ・コンチェルティーノ演奏会というのがありました。以下演奏会プログラムより引用。

ごあいさつ

本日は"カメラータ・コンチェルティーノ"の初めての演奏会にお越しいただき誠にありがとうございます。そして今回の演奏会にあたり多くの方々のご協力をいただきました。御礼申し上げます。
石川県にはオーケストラ・アンサンブル金沢、そして多くの演奏家が存在しております。プロオーケストラを持つ恵まれた環境は、これまでも両者の数多い交流を生み出してまいりました。
"カメラータ・コンチェルティーノ"は若手の演奏家が経験豊かなオーケストラプレイヤー(例えば弦楽アンサンブル)とプログラムの構成を含めて主体的に共演する機会をもっと増やし、フルートを中心とした室内楽の演奏会を今後、重ねていきたいと考えております。石川県の演奏家には新たな経験の場になっていく事も期待しております。
今回の演奏会は初めての為、手探りな面もございます。選曲や演奏にいろいろご感想もあろうかと存じますが、ぜひご意見をお聞かせ下さい。よりよい演奏会に進化するためお力添え頂ければ幸いです。

カメラータ・コンチェルティーノ 一同

私はその演奏会に出演する上野賢治氏のサイト、音楽工房『蛍庵』をメンテナンスしていることもあり、その演奏会を聴きにいきました。ただしこの時、私のメンタルな調子は音楽を聴くには最悪でした。色々な事が重なって頭に血が登ったまま、全然落ち着かないのです。それでも、コントラバスの入った楽曲で、ようやく気分が落ち着いてきました。低音パート好きです。バリトン・サックス吹いていたせいでしょうか。

最後の曲、ドビュッシー フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ(Claude Achille Debussy/Sonate pour flûte, alto et harpe)。古宮山由里さん奏でるヴィオラの音、良く鳴っている。会場の音響も良いせいか。蛍庵でのコンサートの時とは音が違いすぎるのは当然として。ヴィオラというのはとても奥ゆかしい音色を出す楽器だったのだな。男性的に対しての女性的、肉食系に対しての草食系、俗っぽい表現をすればそんな音なのだが。オーケストラの中では、ガッツリした音を出す楽器だけでなく、決して前面には出ないのだがこんな奥ゆかしい音色を出す楽器があって、シンフォニーを奏でられるのだな。日本の皇太子がヴィオラ演奏を趣味とするのが国家に置ける自身の立ち位置を重ね合わせていることもあるのだなあとも改めて実感したり。

ホンのちょっとだけ、ヴィオラのことが分かったような気がします。そしてヴィオラ奏者の心の内も。しかし、ヴィオラの音が聴こえるような演奏会って、あんまり無いのだよなあ。

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